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すべての人が地域で安心して暮らせる社会の実現 

活動報告report

令和7年度 知的障害者相談員等研修会

知的障害者相談員は、地域における障害者支援の身近な窓口として、本人や家族の不安や悩みに寄り添い、行政や関係機関との橋渡しを担っています。
本研修会では、地域で暮らす障がいのある方々への支援に取り組んでいる、社会福祉法人草笛の会の瀧野裕子さんを講師にお迎えし、制度の現状と課題について理解を深めるとともに、相談員活動の意義と役割を再確認します。午後の部では、実際の相談事例などを発表するとともに、各市における知的障害のある方々への相談支援の現状を共有し、地域における支援体制のあり方などを考えます。
制度と現場の両面から学ぶことで、相談員としての視野を広げ、今後の活動に活かすことを目的としています。

日時=令和8年1月17日(土曜日)10時00分~15時00分
会場=静岡県総合社会福祉会館「シズウエル」7階703会議

研修内容
講 演                       
演題=「相談支援事業所のいま〜障害のある人と家族の安心のために〜」
講師=静岡県知的障害者福祉協会 相談支援部会 副部会長
(社福)草笛の会 地域生活支援センター カレント
東遠地域基幹相談支援センター
管理者、主任相談支援専門員 瀧野裕子 さん

―――― < 昼休み  12時~13時  > ――――

事例発表  
                    

コーディネーター:静岡県手をつなぐ育成会  佐藤則博副会長  
富士市

 富士市障害福祉課 相談支援担当 主事 篠原 唯 さん
 富士市知的障害者相談員 金谷弥生 さん
静岡市
 静岡市障害福祉企画課長 寺田和弘 さん
 静岡市知的障害者相談員 石神志津江 さん
浜松市
 浜松市障害保健福祉課 課長補佐 大庭靖史 さん
 浜松市知的障害者相談員 伊藤基久 さん

なお、

令和7年度 社会福祉功労者 厚生労働大臣表彰状の伝達も行われました。

<社会福祉事業関係団体功労者>

静岡県手をつなぐ育成会 副会長 杉本 斉 さん
島田市および県育成会の要職を務め、知的障害のある人の就労と地域
生活の推進に尽力されました。啓発セミナーや本人部会での活動を通じ、
社会の理解促進と共生のまちづくりに大きく貢献されています。

藤枝市手をつなぐ育成会 会長 河原﨑 守也 さん
県育成会の理事・副会長として、障害者総合支援法や障害者差別解消法
の理解促進に尽力されました。長年の相談支援活動と誠実な実践を通じ、
地域福祉の向上に大きく貢献されています。

<会長挨拶要旨>

会長からは、県内における知的障害のある方の現状や進路を取り巻く課題について説明がありました。特に、学齢期から卒業後にかけての進路選択や、通信制高校を含む教育環境の変化について触れ、情報が十分に行き届いていない現状があることが指摘されました。

また、卒業後の進路相談や障害福祉サービスの利用、受給者証の取得など、相談員が関わる場面は多岐にわたることから、知的障害者相談員には、専門職にはない「実体験に基づく相談支援」が大きな役割を果たしていると述べられました。

育成会会員数の減少など厳しい状況の中にあっても、相談員一人ひとりの力が地域支援の要であることを強調し、今後もその経験と知見を生かした活動への期待が示され、研修会を通じて共に学ぶ姿勢が呼びかけられました。

<講演要旨>

講演では「相談支援事業所の今」をテーマに、障害福祉サービスの歴史や制度の変遷を踏まえながら、相談支援事業所の役割と実際の支援内容について解説が行われました。

まず、障害者権利条約を基盤とした日本の障害福祉制度の流れが示され、制度を理解するだけでなく、当事者が歩んできた歴史や社会背景を踏まえた支援の重要性が強調されました。
続いて、相談支援事業所の種類として、**基幹相談支援センター、委託相談支援、計画相談支援(障害児相談を含む)**の三層構造について説明があり、それぞれの役割や連携のあり方が具体例を交えて紹介されました。

特に基幹相談支援センターについては、地域における相談支援体制の中核として、相談支援専門員への後方支援、人材育成、関係機関との連携調整を担っていることが説明されました。
また、委託相談支援が福祉サービス利用前の相談を担い、計画相談支援がサービス利用開始後の伴走支援を行うなど、切れ目のない支援の重要性が示されました。

講演の終盤では、相談支援専門員の養成・研修制度や、地域の実情を把握することの大切さ、ライフステージを通じて支援が分断されやすい現状とその課題について触れられました。
知的障害者相談員をはじめとする地域の関係者が、相談支援事業所とつながり合いながら、誰もが安心して暮らせる地域づくりを進めていく必要性が改めて示されました。

<講演質疑要旨>

質疑応答では、地域における相談支援体制の実際や、制度と現場との間に生じている課題について多くの意見が出されました。

はじめに、個人情報の取り扱い防災・見守りの観点からの情報共有の難しさについて質問があり、本人や家族の同意を前提としつつ、自立支援協議会や相談員、民生委員などが連携し、地域で支援が必要な方を共有できる仕組みづくりの重要性が示されました。

次に、初めて障害福祉サービスにつながる際の窓口や、複数市町にまたがる地域(3市1町)での連携体制について質問があり、基本的には行政が入口となりつつ、広域の自立支援協議会や調整会議を通じて、未サービス利用者も含めた情報共有と支援調整が行われていることが説明されました。また、地域差や小規模市町の体制への懸念も共有されました。

さらに、相談支援の現場からは、本人の意思を中心に据えた支援の難しさ事業所数の減少や人材不足、**相談支援専門員の継続性(担当者が頻繁に変わることによる本人への影響)**といった課題が提起されました。
これに対し、講師からは、相談支援専門員の全国的な年齢構成や人材状況、令和6年度の報酬改定の背景について説明があり、相談支援が専門職として位置付けられ、持続可能な事業運営と人材育成が進められていることが述べられました。あわせて、地域レベルでの学び合いや支え合いが重要であるとの考えが示されました。

最後に、自立支援協議会における当事者・家族参画の弱さや、主任相談支援専門員の役割と配置状況について質問があり、県域単位での協議会運営やスーパーバイザーの配置、地域課題の吸い上げの仕組みについて説明が行われました。当事者や家族が参画できていない現状は大きな課題であり、今後、主任相談支援専門員がその改善に向けた役割を担っていくことへの期待が示されました。

質疑全体を通じて、制度理解だけでなく、地域の実情を踏まえた連携と、人を育て支え続ける仕組みづくりの必要性が改めて共有されました。

<事例発表 要旨>

コーディネーター 要旨
本事例発表では、県内各市における知的障害者相談員の活動実態について、行政職員と相談員それぞれの立場から報告を行う。相談員は、同じ立場・経験をもつ家族として、制度的支援の前段階での「気づき」や「つなぎ役」を担っており、行政・関係機関と当事者・家族を結ぶ重要な存在である。
地域特性や体制の違いはあるものの、相談員活動が共生社会の実現に向けた基盤となっている点が、各市の報告を通じて明らかとなった。

富士市 事例発表 要旨
富士市では、知的障害者相談員が障害のある方の保護者を中心に構成され、市内を15地区に分けて、担当地区ごとの訪問や相談対応を行っている。2か月に1回の定例会を通じて情報共有や研修を行い、特別支援学校や関係団体とも連携した活動が実施されている。
福祉サービス未利用世帯への在宅訪問や、卒業後の進路を見据えた移行支援会議への参加など、行政の目が届きにくい家庭への支援が大きな役割となっている。
具体的事例として、長期の引きこもり状態にあった当事者と高齢の保護者への継続的な訪問支援を通じ、関係機関との調整を行い、適切な施設入所につながったケースが紹介された。
相談員には、生活上の悩みに寄り添い、必要に応じて行政や福祉サービスにつなぐ「橋渡し役」としての役割が期待されている。
一方で、相談員の高齢化や担い手不足、担当地区に空白が生じていることが課題として挙げられた。
同じ立場の家族だからこそ共感できる強みを生かしつつ、今後も研修や連携を通じた活動の継続が重要であるとまとめられた。

静岡市 事例発表 要旨
静岡市では、知的障害者相談員が当事者・家族に寄り添う身近な相談窓口として活動しており、電話や訪問だけでなく、地域活動や啓発の場面を通じた相談対応が多く行われている。
相談員の役割は、法制度上も「家族同士の相互支援」として位置づけられており、委託相談支援事業所と補完し合う関係にあることが説明された。
相談は、困りごとが顕在化する前の「不安」の段階で寄せられることも多く、同じ立場の相談員だからこそ受け止められる支援の重要性が強調された。
また、「育カフェ」や世代別の交流の場を設けることで、相談への心理的ハードルを下げ、要望を行政施策につなげる取り組みも紹介された。
相談員には、相談者が「話してよかった」と感じられる経験を積み重ねることで、地域とのつながりを広げていく役割が期待されている。

浜松市 事例発表 要旨
浜松市では、知的障害者だけでなく、身体・精神障害を含めた障害種別ごとの相談員を配置し、地域ごとに相談体制を整備している。
身近で相談しやすい窓口としての役割と、専門機関への円滑なつなぎを担う点が、浜松市の相談員活動の特徴である。
基幹相談支援センターや地域ごとの相談支援センターと連携しながら、地域課題の把握や自立支援協議会への参画を通じて、支援体制の強化が図られている。
また、長年にわたる地域法人・事業所との継続的な交流により、顔の見える関係づくりが支援の土台となっていることが報告された。
行政機関の「敷居の高さ」を補う存在として、相談員が地域に根差した共感的支援を担う意義が改めて示された。


静岡新聞「令和8年1月25日」掲載静岡新聞社編集局管理部許諾済


開会のことば :静岡県手をつなぐ育成会  佐藤則博副会長  


主催者挨拶:静岡県手をつなぐ育成会 小出隆司会長



社会福祉功労者厚生労働大臣表彰の表彰状を小出会長から伝達される、
静岡県手をつなぐ育成会 副会長 杉本 斉 さん



社会福祉功労者厚生労働大臣表彰の表彰状を小出会長から伝達される、
藤枝市手をつなぐ育成会 会長 河原﨑 守也 さん




講演の様子


講演の様子


質疑応答:立ち上がって質問に答える瀧野さん


会場からは多くの質問が出されました。

今回は、ボランティアの静岡大学の学生さんが表彰の補助や質疑応答時のマイク係を務めてくれました。

今回は、ボランティアの静岡大学の学生さんが表彰の補助や質疑応答時のマイク係を務めてくれました。

事例発表でコーディネーターを務める佐藤副会長















今回も、生活サポート総合補償制度の保険代理店である、ジェイアイシー
セントラル静岡営業所 より、米田さん、尾崎(おさき)さん、勝又さんが、ブースにて制度の説明や相談に応じてくれました。

 



静岡県手をつなぐ育成会

〒420-0856
静岡市葵区駿府町1-70 静岡県総合社会福祉会館「シズウエル」3階

TEL 054-254-5230   

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