静岡県手をつなぐ育成会では、知的に障害のある児童を養育する保護者が抱える課題等を集約・提言し、福祉施策や障害児教育に反映させるため、「児童部会」を開催しています。また、知的に障害のある方が就労や就労を継続するにあたっての課題等を集約、提言し、福祉施策に反映させるため、「就労支援部会」を開催しています。
今回、自分たちの経験や反省などを児童部会の方々に伝えたいという就労支援部会の皆様の提案により、合同部会として開催することとなりました。
日時:令和7年1月27日(月曜日)10時00分 〜12時45分
会場:静岡県総合社会福祉会館「シズウエル」5階 集会室
出席者:(敬称略)
静岡県手をつなぐ育成会 会長 小出隆司
静岡県手をつなぐ育成会 事務局長 増田吉則
(児童部会)
沼津市手をつなぐ育成会 浅田美重子
三島市手をつなぐ育成会 山本梨佐
富士宮市手をつなぐ育成会 堀内亜希(代理出席)
静岡市静岡手をつなぐ育成会 鈴木昭子
静岡市清水手をつなぐ育成会 須田亜紀(代理出席)
焼津市手をつなぐ育成会 深津正美
菊川市手をつなぐ育成会 佐々木由香里
浜松市浜松手をつなぐ育成会 村松香織
(就労支援部会)
沼津市手をつなぐ育成会 佐野貴與江
沼津市手をつなぐ育成会 中村芙美子
三島市手をつなぐ育成会 中川美織
富士市手をつなぐ育成会 米永政文
藤枝市手をつなぐ育成会 増田雅子
浜松市浜北手をつなぐ育成会 大城千幸
袋井市手をつなぐ育成会 伊藤吉乃
浜松市浜松手をつなぐ育成会 芝 充子
静岡県障害者就労研究会 瀬戸脇正勝(冒頭のみ)
静岡中東遠障害者就業・生活支援センター ラック 柴田量吉
次第
会長挨拶
部会委員相互の情報交換等
・卒業後の生活のため、在学中に備えておくべきこと
<協議概要>
1 小出会長挨拶
多くの委員の皆様にご参加いただき、感謝する。
市町の育成会として、当事者や親等の支援者の意見や思いを、市町の行政に伝えていかなくてはならない。
親なき後も含め、障害のある方々がどうやって生きていくのか、について考えていきたい。
制度の隙間をなくし、我が子を託せる、共生社会を目指したい。
2 NPO法人静岡FIDサッカー連盟の理事長でもある、静岡県障害者就労研究会 瀬戸脇 正勝 さんより情報提供
静岡市清水区庵原町1210にある「IAIパラスポーツパーク」に、来月サッカー場がオープンする。知的障害のある方々の社会参加の場となるよう、気軽に利用できるよう環境を整えていきたい。(説明後、瀬戸脇さんは所用のため退席)
3 情報交換、意見交換(要旨)
<市町への働き掛け>
小学校5年のとき千葉から富士宮市へ移住。現在、子どもは高等部1年に在籍中。千葉県との違いに驚いた。支援学級が指定の小学校にしかなく、選択肢がないのにも驚いたが、それが当たり前という教育委員会の姿勢にも驚かされた。とにかく、知的障害のある子どもは「特別支援学校」へ、という圧を感じた。林間学校は欠席するのが当然のように言われたが、学校の姿勢として疑問に感じた。情報が入りにくく、生の声や先輩の先進的な話を聞く機会が減ってしまったので、今回はとても楽しみにしていた。
浜松も最初は支援学級が少なかったが、みんなで働き掛けた結果、今では9割程度の小学校に設置されている。市町教育委員会が所管になるので、地元の市町への働き掛けが大切。
市町によって状況は随分違う。市町教育委員会の方針をしっかり確認するなど、保護者にも知識が求められる。
富士宮市には、知的障害のある子どもたちを支援してくれるグループがあるのではないか。利用者さんがそんな話をしていた。確認して連絡する。
高等部への進学を考えている場合には、夏休みなどに行われる学校見学は重要になって来る。県教育委員会では、進学する生徒数を見込んで予算編成を行うが、この見学会などに来る生徒数などを参考データとしているようだ。
<就労・就職に向けて>
東部地区には「自立訓練」の場が少ない。三島にある「みらいカレッジ三島キャンパス」の学院長をしているが、「自立訓練」2年、「就労移行」2年、計4年の学びを経て社会へ出ていく支援をしている。
高等部を卒業したから就職、働くではなく、自らが働きたい、お金を稼ぎたい、と思える、働く動機を持って自立して生きていくことが大事だと思う。
自立とは、一人で生きていくということではなく、人に頼る、自分から相談し、サポートを受けながら生活していく、も自立である。
職場見学(実習体験)などに積極的に参加し、早くから働いている姿を見せたほうがよい。職場では、何を求められているのか、どんな能力が必要なのか、といことを知ることができる。雇う側の考えを知ることができたのはとてもよかった。学校からの情報だけに頼るのではなく、親が足を使って調べることも大切。
就職すること、就業することを目指すことが必ずしも人生のゴールではない。仕事をすることが本当に幸せなのか。そんなに働かせなければいけないのか?わずかな工賃を稼ぐためにひたすら働いている利用者を見ると、もっと余裕のある人生を送らせたいと思う。お花見にいくとか、お誕生会をやるとか、そういう余裕があってもよい。そういう制度、仕組みに変えて欲しい。
<就労以外の選択肢、豊かな生活とは>
通信制高校へ通っているが、福祉から外れてしまうことの不安はあるので、放デイや相談支援事業所にはずっとつながっていたい。
無理をして普通校に入れてしまい、大変な思いをしている人もいる。
生活介護事業所は、支援内容、サービス内容に幅があるので、見学を十分にしたほうがいい。
本人が何をしたいかを一番に考えたい。もし働く能力が低くても、本人が仕事をしたいというならそれを目指すべきだ。生活介護事業所は、内容が幅広く作業をしているところもあり、工賃を出しているところもある。本人の気持ちをしっかりと確認して進路を決めていくことが大切。
「毎日楽しい」「自分らしく豊かに生きる方法」を優先したい。その先に就職するとか、アート活動をするとかの方向性を決めていきたい。
<就労継続支援B型事業所>
報酬改定のたびに工賃が重視されている。報酬単価に直結するので、工賃を出せるようガンガン働かないといけないという雰囲気がある。
就労継続支援B型事業所の工賃「3万円」の目標は、親なきあと、年金と合わせてグループホームで自立できる金額ということで、目標値になることが多い。
<特別支援教育>
特別支援学校の目的は、キャリア教育として実習を取り入れ、卒業後の社会自立を目指す訓練の場。一方で、高等学校は、教科単位の習得(勉強)をするのが目的。親は、子どもに何が必要かを考えて進路を決めたほうがいい。
特別支援学校の先生は、働くことを大事にしすぎている気がする。働くための3年間。実習訓練の様子にショックを受けた。言葉だけでは子どもには伝わらず、わけもわからずに実習を受ける姿が切なかった。
特別支援教育は、働くことをずっと目標にしているので、子どもによっては、傷ついた学生生活を送ってきた子もいた。「本人が何をしたいのか」をしっかりと聞き取ることが大切だと思う。
自分から質問ができるための訓練、子どもが何か言うまで先生は待っているということだが、自ら発信できない子もいる。コミュニケーション能力を高める方法は、実際に声を出さなくてもいくらでもあるはず。
実習の目的って何だろう。親もその趣旨を確認することも大切。
ほめて育てる、スモール・ステップでお願いしたい。
保護者の間にも、「学習・教育」に対する考え方が大きく違ってきている。支援級出身の子どもの親は、勉強をさせたい、と考えるのに対し、支援校出身の子どもの親は、働かせたい、考える親が多いように感じる。
<その他>
10年後にちょうど8050(はちまるごおまる)になるので、これからの10年の過ごし方を考えていきたい。
開会の挨拶をする静岡県手をつなぐ育成会の小出会長
合同部会の様子
合同部会の様子
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